うつ病との長い闘い
私は20代後半から現在に至るまで、うつ病(抑うつ症) に苦しんでいます。
この病気は、一度よくなったかと思えばまたぶり返し、波のように繰り返し襲ってくるものです。
「ただの疲れだろう」「気の持ちようでなんとかなる」——私も最初はそう思っていました。
しかし、あるとき気づいたのです。
「気合ではどうにもならない」「これは自分の意志でどうにかできるものではない」 と。
この記事では、私のうつ病の体験と原因、そして対処法 を綴ります。
もし、「最近、なんとなくおかしい」 と感じている方がいたら、少しでも参考になればと思います。
うつ病発症までのキャリア
私が初めてうつ病を発症したのは23年前、29歳のときでした。
最初の就職先は某私立大学で、当時普及し始めていたインターネットのサーバ管理を担当していました。
Windows NT4.0でユーザー管理を行い、Solarisを使ってインターネットサーバを構築していました。
(補足) Windows NT・Solarisは、今で言うWindows ServerやLinuxのようなものです。
今の若い人は、もう知らないですよね(;^_^A
その後、27歳で地元の県庁に転職。情報処理職として採用され、1年目から情報処理の部署に配属されました。
給与計算システムの運用
私の担当業務は、職員の給与計算システムの運用・管理でした。
しかし、このシステムは当時でもカビが生えるほど古いNECのAcosという汎用コンピュータを使用し、COBOLで構築されたもの。
前職ではC言語を扱っていたものの、COBOLの基礎知識しかない状態での業務開始でした。
(補足) COBOLは今でも金融機関で使われているほど、金融や事務処理に特化した言語です。
しかし、一言でCOBOLと言ってもメーカーごとに「方言」があり、習得には相当な時間がかかりました。
さらに、この給与計算システムは毎年の人事委員会勧告(国では人事院勧告)に対応する必要があり、
長年の改修の積み重ねで複雑怪奇なシステムになっていました。
技術的なスキル以上に求められたのは、給与計算に関する県条例の知識。
エンジニアとしての能力よりも、むしろ法律・条例を理解し、正しくシステムに反映させることが最も重要な業務でした。
給与システムのプレッシャー
給与計算は職員全員のお金に関わるため、ミスは絶対に許されません。
✅ ミスがあってはならない業務の一例
- 手当の登録は正しいか?
- 人事異動は正しく反映されているか?
- 社会保険料の徴収ミスはないか?
- 住民税のデータに誤りがないか?
毎日、膨大なチェック作業に追われる日々でした。
さらに、当時の日本は景気が悪化しており、県職員の給与改定が初めてマイナスになりました。
公務員の給与改定は4月に遡って適用されるため、支給済みの給与との差額をボーナスから差し引く異例の処理が必要になりました。
職場の人間関係と孤独感
仕事が忙しい日は、膨大な業務とプレッシャーで押しつぶされそうでした。
しかし、給与支給日直後のような閑散期には、何もやることがない日もありました。
机に座っているだけの時間は、仕事が忙しいとき以上に精神的にきつかったです。
「周りは忙しそうなのに、自分は何もしていない」 という焦りと孤独感。
目の前のパソコンを眺めながら、ただ時間が過ぎるのを待つだけの状態でした。
この 「仕事があっても辛い、なくても辛い」 という状況は、
自分の心を少しずつ蝕んでいったのかもしれないです。
ストレスと心の異変
仕事がある日はプレッシャーに押し潰されそうになり、
仕事がない日は窓際族として針のムシロに座っているような感覚でした。
そんな毎日を過ごすうちに、家に帰っても気持ちが落ち着かず、疲れが取れなくなっていきました。
それでも、「家庭では良き夫でありたい」という思いが支えになっていました。
仕事のストレスがあっても、家に帰れば妻がいてくれる。
そんな日々の中で、妻の妊娠がわかりました。
子ども好きな私は、「これからは父親としてしっかりしなければ」という思いとともに、胸がいっぱいになりました。
「元気な赤ちゃんが生まれてくるように」
そう願いながら、炊事・洗濯・掃除などの家事を積極的にこなし、妻の負担を減らそうとしていました。
最初のころは家事をすることに誇りを持ち、楽しんでいました。
妻と一緒に産婦人科へ行き、お腹の中の赤ちゃんをエコーで見たときは、
夫婦二人で涙を流して笑い合うほど幸せでした。
しかし、ある頃から私は家に帰っても何も楽しいと感じなくなりました。
家事は変わらず続けていましたが、楽しんでやるのではなく、ただの義務感でこなしているだけ。
休日もどこへ行く気力もなく、ダラダラと時間を潰すだけの生活。
夜になれば、ただ布団に入るだけ。
「なんとなく心と体に違和感がある」
そんな状態が、いつの間にか当たり前になっていました。
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