アリセプト及びその他の認知症治療薬についての紹介
アリセプト(Aricept) とは、アルツハイマー型認知症の治療に使用される医薬品 です。
🔹 アリセプトの基本情報
- 一般名(有効成分): ドネペジル塩酸塩(Donepezil Hydrochloride)
- 製造・販売: エーザイ株式会社(日本)
- 作用機序: アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
- 適応: 軽度~中等度のアルツハイマー型認知症、一部のレビー小体型認知症
🔹 アリセプトの効果
アリセプトは、脳内の神経伝達物質「アセチルコリン」の分解を抑える ことで、アルツハイマー病の進行を遅らせる作用があります。
🔸 主な効果:
✅ 記憶力・注意力の改善
✅ 認知機能の維持・進行の遅延
✅ 生活の質(QOL)の向上
🔸 効果が期待できる疾患:
- アルツハイマー型認知症(軽度~中等度)
- レビー小体型認知症(LB型認知症)
💡 完全な治療薬ではなく、症状の進行を遅らせるための薬 です。
🔹 アリセプトの副作用
主な副作用(頻度が高いもの)
- 消化器系: 吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢
- 神経系: めまい、不眠、興奮、悪夢
- 循環器系: 徐脈(脈が遅くなる)、血圧低下
- 精神症状: 不安、攻撃性の増加
⚠ 注意点:
- 心臓病(徐脈、洞不全症候群など)がある場合は慎重に使用
- 服用開始時や増量時に副作用が出やすいため、医師の指示に従う
- 急に服用を中止すると、症状が悪化する可能性がある
🔹 アリセプトの用法・用量
通常、1日1回 就寝前 に服用します。
- 初期: 3mg/日(1~2週間)
- 継続: 5mg/日
- 必要に応じて最大 10mg/日(医師の指示に従う)
📌 ポイント:
- 夕食後ではなく「就寝前」に服用するのが一般的(副作用のリスクを低減するため)
- 自己判断での増減は危険! 必ず医師の指示に従う
🔹 アリセプトについてのまとめ
✅ アリセプトはアルツハイマー型認知症の進行を遅らせる薬
✅ 神経伝達物質「アセチルコリン」の減少を抑え、記憶や認知機能をサポート
✅ 軽度~中等度のアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症に有効
✅ 副作用には消化器症状や徐脈などがあるため、慎重な服用が必要
✅ 服用は1日1回・就寝前が基本
アリセプトは 「治す薬」ではなく、「進行を遅らせる薬」 である。
その他認知症治療薬について
認知症治療薬の全般について
認知症治療薬は、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などの進行を遅らせたり、症状を軽減したりするために使用される薬 です。現在の医療では、完全に治す薬は存在しません が、適切な治療薬を使用することで認知機能や日常生活の質(QOL)の維持が期待できます。
🔹 認知症治療薬の主な分類
現在、認知症治療薬は 「コリンエステラーゼ阻害薬」 と 「NMDA受容体拮抗薬」 の2種類が主に使用されています。
分類 | 作用 | 主な薬剤 | 対象疾患 |
---|---|---|---|
① コリンエステラーゼ阻害薬 | アセチルコリンの分解を防ぎ、神経伝達を助ける | アリセプト(ドネペジル) レミニール(ガランタミン) リバスタッチ/イクセロン(リバスチグミン) |
軽度~中等度のアルツハイマー型認知症 レビー小体型認知症 |
② NMDA受容体拮抗薬 | グルタミン酸の過剰な刺激を抑え、神経細胞の損傷を防ぐ | メマリー(メマンチン) | 中等度~重度のアルツハイマー型認知症 |
③ その他の補助薬 | 精神症状や行動の問題を緩和 | 抗精神病薬、抗うつ薬、漢方薬(抑肝散など) | 認知症に伴う興奮、不安、幻覚、妄想の症状 |
🔹 認知症治療薬の詳細
① コリンエステラーゼ阻害薬
🧠 作用:
- 認知症では、脳内のアセチルコリンという神経伝達物質が減少し、記憶や学習機能が低下する。
- コリンエステラーゼ阻害薬は、このアセチルコリンの分解を防ぎ、神経伝達を助ける ことで、症状の進行を遅らせる。
💊 主な薬剤:
薬剤名 | 特徴 | 対象疾患 |
---|---|---|
アリセプト(ドネペジル) | 最も広く使われている。レビー小体型認知症にも適応あり。 | 軽度~重度のアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症 |
レミニール(ガランタミン) | アセチルコリンの作用を強める「ニコチン受容体刺激」もあり、効果が比較的穏やか。 | 軽度~中等度のアルツハイマー型認知症 |
リバスタッチ/イクセロン(リバスチグミン) | 貼付薬があり、飲み込みが難しい患者にも使用可能。 | 軽度~中等度のアルツハイマー型認知症 |
⚠ 副作用:
- 消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振)
- 徐脈(脈が遅くなる)
- めまい、不眠、悪夢
② NMDA受容体拮抗薬
🧠 作用:
- 認知症では、脳内の神経細胞がグルタミン酸の過剰な刺激 によって損傷を受ける。
- NMDA受容体拮抗薬は、このグルタミン酸の作用を抑え、神経細胞を保護する。
💊 主な薬剤:
薬剤名 | 特徴 | 対象疾患 |
---|---|---|
メマリー(メマンチン) | 中等度~重度のアルツハイマー型認知症向け。単独またはコリンエステラーゼ阻害薬と併用。 | 中等度~重度のアルツハイマー型認知症 |
⚠ 副作用:
- めまい、ふらつき
- 眠気、興奮、不安
- 便秘
③ その他の補助薬
認知症の進行に伴う精神症状(幻覚、妄想、興奮、不安)を抑えるために、以下の薬が使用されることがあります。
分類 | 主な薬剤 | 対象症状 |
---|---|---|
抗精神病薬 | リスペリドン、クエチアピン | 幻覚、妄想、興奮、暴力的行動 |
抗うつ薬 | SSRI(パキシル、レクサプロ) | うつ症状、不安、抑うつ状態 |
漢方薬 | 抑肝散(よくかんさん) | 興奮、攻撃性、不安 |
⚠ 注意点:
- 抗精神病薬は副作用(転倒、意識低下)に注意が必要
- 漢方薬は比較的安全だが、効果には個人差がある
🔹 認知症治療薬の選び方
🔰 軽度~中等度のアルツハイマー型認知症 → コリンエステラーゼ阻害薬(アリセプト、レミニール、リバスタッチ)
🔰 中等度~重度のアルツハイマー型認知症 → メマリー(単独 or コリンエステラーゼ阻害薬との併用)
🔰 レビー小体型認知症 → アリセプト(レビー小体型に適応あり)
🔰 精神症状が強い場合 → 抗精神病薬や漢方薬を追加
まとめ
✅ 認知症治療薬には「コリンエステラーゼ阻害薬」と「NMDA受容体拮抗薬」がある
✅ アリセプト、レミニール、リバスタッチは軽度~中等度向け
✅ メマリーは中等度~重度向け
✅ 症状に応じて抗精神病薬や漢方薬を併用することもある
✅ 完全な治療薬ではなく、「進行を遅らせる」ための薬
認知症治療は 薬だけでなく、生活環境の工夫やリハビリも重要 です。
適切な薬を選び、QOL(生活の質)を向上させることが大切 になります。
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