涙が出るほどの痛みと向き合った日々|理学療法(PT)での股関節リハビリ記録

若い日本人男性患者がプランク姿勢でリハビリに挑み、女性セラピストがそばで見守る様子 けがに苦しむ日々
体幹を鍛える。支えるのは、自分の意志と、信頼できる人の存在

はじまりはわずかな屈曲から──曲げて伸ばすだけで涙が出る

理学療法(PT)が本格的に始まったとき、まず前提として手術を行った医師から以下のように指示されていました。

「脚をねじるような動き──特に胡坐のような姿勢は、最低1か月は避けてください」

この指示を守りながら、PTの時間はリハビリベッドに横になった状態で右脚をゆっくりと曲げる訓練からスタートしました。
初日は、股関節の角度にしてわずか30度ほど
それでも、脚を曲げるだけで身体がこわばり、痛みが走りました。


✅ 徐々に角度を深め、歩行訓練も並行して開始

毎日のリハビリで少しずつ角度を深め、2〜3週間ほど経つと90度ほどまで曲げられるようになりました。
同時に、歩行訓練も進み、病室からリハビリ室への往復に加え、30〜100mの歩行も可能になりました。


✅ 予想外の「伸ばす痛み」に泣かされる日々

90度以上に曲げるようになったある日、まさかの痛みが襲ってきました。
曲げるときではなく、「曲げた脚を伸ばすとき」に、股関節の中で何かが引っかかるような感覚と同時に、激痛が走ったのです。

思わず「痛いっ」と声が出て、涙が滲むほどの痛み
それでもリハビリを止めるわけにはいかず、この痛みと向き合いながらのリハビリ生活が続きました。


代行セラピストたちとの出会いと、それぞれのアプローチ

PTの担当セラピストにも当然ながら休みがあります。
その際は、代行のセラピストがリハビリを担当してくれました。


✅ セラピストによってリハビリ方法はまるで違う

基本的な訓練内容は担当者から引き継がれているようですが、セラピストごとの得意分野やアプローチが異なるのが印象的でした。

ある日の代行セラピストは、当時話題だった筋膜リリースを取り入れてくれました。
肌の表面を軽くスライドさせるような施術で、最初は「これで何が変わるの?」と思ったものの、終わる頃には体が軽くなったような感覚があったのです。

「感じ方には個人差がありますが、あなたはかなり反応が出やすいタイプですね」

とそのセラピストにも言われ、自分の身体の新しい一面を知ることになりました。


✅ 的確で親身なアドバイスに信頼感

このセラピストは非常に博識で、股関節や太ももに負担をかけず、弱った筋肉を効果的に鍛える方法をいくつも教えてくれました。

正直、担当セラピストより信頼できると感じてしまうほど。
道具を使った訓練に入るのはまだ先でしたが、こうした工夫あるアプローチに支えられている安心感がありました。


「体幹を鍛える」新たな目標と、プランクとの出会い

股関節の屈曲がある程度できるようになると、次の課題は「痛みの出ない体づくり」でした。
そのために始まったのが、「体幹強化」です。


✅ 腹筋、クランチ、そしてプランクへ

まずは、ベッドの上で腹筋に力を入れて頭を浮かせる練習から。
そこから徐々に負荷を上げ、

  • クランチ(お腹を丸める腹筋)

  • レッグレイズ(脚を持ち上げて下ろす)

へと進みました。

ところが、レッグレイズでは再び股関節の引っかかり痛が出てしまい、すぐに中止。
代わって取り入れられたのが、プランクです。


✅ 初めてのプランク、20秒から4分へ

プランクは全身の体幹を使うトレーニング。
最初は正しい姿勢をとるだけでも精一杯で、20秒が限界でした。

しかし、コツコツ続けるうちに徐々に時間が延び、退院直前には4分以上できるようになっていました。

「まるで筋トレのために入院してるみたいだね(笑)」

と、周囲のセラピストに冗談を言われたほどです。


✅ バランス系訓練にも挑戦

その他にも以下のようなバランスを重視したトレーニングも行いました:

  • バランスポールに仰向けで寝て、片足を上げてバランスをとる

  • バランスディスクに膝立ちして、セラピストとキャッチボールする

最初は腹筋が使えず、背筋で体を支えてしまうクセがあり、セラピストからは

「背中じゃなくて、お腹を意識して支えてくださいね」

と細やかな指導を受けながら、少しずつ体の使い方を身につけていきました。


奇跡のような屈曲訓練──痛みなく曲げられた日のこと

ある日、担当セラピストの不在時に代行で担当してくれたセラピストが、脚を屈曲する際に膝を支え持ち上げる方法を取り入れてくれました。

すると──
驚くほど深くまで脚を曲げられ、しかもあの「引っかかり痛」が出なかったのです。

「あれ?痛くない…!」

そのときの感動は今でも忘れられません。
涙を流していた日々を思い出しながら、「痛みなく動けることの喜び」をかみしめました。


✅ 担当セラピストに伝え、翌日から正式採用

この効果を担当セラピストにも報告し、その日から毎日の屈曲訓練が“膝支持方式”に変更されました。
それ以来、あの強い痛みはほとんど出なくなりました。

後で知ったことですが、そのセラピストは患者には非常に親切で評判のよい方でありながら、同業者からは厳しいことで知られる存在だったそうです。

「勉強熱心で、確かな技術がある人はやっぱり違うな」

と心から尊敬し、今でも感謝しています。
まさに、「足を向けて寝られない」ほどの存在です。


まとめ:痛みとの対話、そして体との向き合い方を学んだ日々

PTでのリハビリは、股関節の柔軟性回復だけではなく、自分の体との向き合い方を教えてくれた時間でもありました。

  • 少しずつ曲がるようになる脚

  • 思いがけない痛みに泣いた日々

  • 代行セラピストとの出会いがもたらした突破口

  • 痛みがないというだけで、体がこれほど軽くなること

リハビリは単なる運動ではなく、痛み・不安・希望が交錯する「心と体の再訓練」なのだと、強く実感しました。

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