外側大腿皮神経痛と向き合う作業療法(OT)のはじまり
リハビリ病院に転院して、いよいよ本格的なリハビリ生活がスタートしました。
まずは、作業療法(OT)での取り組みからお伝えします。
✅ 痛みと付き合いながら受けたマッサージ
OTの時間は、マッサージによる疼痛緩和から始まりました。
ただし、私の診断は「外側大腿皮神経痛」──比較的珍しい疾患のため、太ももを直接マッサージすることは避けられ、代わりに以下の筋肉をほぐす施術を受けました。
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大殿筋
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大腿筋膜張筋
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梨状筋
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深層外旋六筋(股関節の安定を保つインナーマッスル)
特に太ももは、触れるだけでも激痛が走る状態で、ズボンの布がこすれるだけでもつらく感じるほど。
そのため、周囲の筋肉からほぐしていくことで間接的に痛みを緩和する方針でした。
✅ OTは会話も重要なリハビリの一部
マッサージ中は、セラピストとの会話も大切なリハビリの一環です。
私がぬか漬け作りが趣味であることや、退院後にまたぬか床の世話ができるかどうか心配していることなど、雑談の中から生活への意欲を引き出す時間でもありました。
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家族構成
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仕事内容(現在お休み中)
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退院後の目標や希望
といったテーマについても自然な流れで話しました。
最初の1〜2週間は、マッサージされる筋肉も強張っていて非常に痛みが強かったのですが、徐々に慣れ、リラックスできるようになってきました。
周囲の患者さんたちから感じたこと
OTの部屋では、自分以外の患者さんの様子も目に入ります。
全体的にご高齢の方が多く、半身まひなどを抱えている方もたくさんいらっしゃいました。
✅ 手の訓練や道具を使ったOT風景
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お手玉を使った手先のリハビリ
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輪投げ
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ペグさし(指先の細かい動作)
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ボールのキャッチ練習 など
一見「遊び」のように見えるこれらの道具も、脳卒中などの後遺症によって動かしにくくなった体を再教育するための大切な訓練です。
自分にできる動きが、ある人にとっては本当に難しい──病気の怖さを、目の当たりにした瞬間でした。
調理訓練と日常動作へのチャレンジ
退院が近づいたころ、私はOTでの調理訓練に参加しました。
✅ お買い物もリハビリの一環
調理に使う食材は、自分で病院の近くのスーパーまで歩いて買いに行きました。
これも歩行訓練の一環として組み込まれています。
✅ 限られた時間と設備で工夫したメニュー
病院内のOTルームには小さなキッチンがあるのですが、スペースも器具も限られており、調理時間も1時間以内(試食含む)という制約がありました。
私は悩んだ末、以下の3品を作ることにしました:
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ささみと大葉の和風パスタ
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炊飯器で作るホットケーキミックス+ブルーベリーのケーキ
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コールスローサラダ
材料費は自己負担ですが、せっかく作るなら多めにと思い、7〜8人分ほど作って周囲にふるまいました。
通常はセラピストと自分の2人分程度が一般的らしく、私の調理への本気ぶりに驚かれていました。
入院生活のリアル──食事とシャワーの苦痛
✅ 食事の内容と量にやや苦戦
入院から2週間ほど経つと、椅子にもかなり深く腰掛けられるようになり、姿勢も安定してきました。
そうなると気になるのが食事の内容です。
周囲は60代以上の患者さんが中心ということもあり、
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味付けは非常に薄め
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食感はやわらかめ
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おかずも消化の良いものばかり
お世辞にも「美味しい」とは言えませんでしたが、
「食事をしに来ているわけじゃない。リハビリのためだ。」
と自分に言い聞かせて、なんとか食べ続けました。
ただ、量も少なかったせいか、退院時には体重が5kg以上減っていました。
✅ シャワーの頻度が精神的に一番つらかった
私にとって何よりつらかったのが、お風呂に入れないことでした。
ヘルパーさんの付き添いが必要で、週2回のシャワーのみ。
これが1ヶ月以上続きました。
うつがひどかった時期でも、気力を振り絞ってシャワーだけは浴びていた自分にとって、「入りたくても入れない」という制限は予想以上にストレスでした。
まとめ:OTは身体だけでなく「生活そのもの」への準備
作業療法(OT)は、マッサージや調理訓練といった「動きの回復」だけでなく、生活への再接続の役割があると実感しました。
ときに会話を通じて、退院後の目標や希望を見つめ直す時間にもなりました。
また、調理や買い物、姿勢や生活リズム、他者との関わりなど、「暮らす力」そのものを取り戻す過程だと強く感じた日々でした。
次回は、理学療法(PT)での歩行訓練や筋力回復の取り組みについて、詳しくお伝えしていきます。
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