痛みと不安の中で——職場からの催促
退院後、医師の診断書に書かれた期間までは自宅で療養することにしました。
しかし、手術でお腹を大きく切った影響は大きく、傷の痛みはなかなか引きません。
痛み止めは処方されていたものの、完全に痛みが消えるわけではなく、常に鈍い痛みが続いていました。
さらに、痛みが続くことで気分の落ち込みも激しくなり、不眠にも悩まされました。
そんな中、職場から何度も「いつ復帰できるのか」と催促の連絡が来ました。
上司からは「回復しているなら早く出勤するように」と圧力をかけられました。
まだ傷の痛みも強く、動くのも辛い状態でしたが、何を言っても聞いてもらえないだろうと思い、診断書に記載された療養期間が終わった後に復帰することを決めました。
無理な復帰と無理な指示
2度目の職場復帰の初日、予想通り上司との面談が組まれていました。
上司は私を見るなり、開口一番こう言いました。
「一般職員としての経験がまったく足りない。その勉強のために財務会計システムの仕様書を作成しろ。」
仕様書とは、システムの設計や運用の詳細を記述した技術文書です。
初めての業務である上に、システムの全体像を把握しているわけでもなく、どこから手をつければいいのか皆目見当がつきませんでした。
さらに、「分からないことがあったら庶務担当の先輩に聞くように」と指示されたものの、その先輩は単にシステムを使用しているだけで、詳細な仕様は全く知らないとのことでした。
そもそも財務会計システムは外注で作られたものであり、仕様の全体像を把握しているのはベンダー側の担当者くらいです。
にもかかわらず、私はたった一人で「仕様書を作れ」と言われ、途方に暮れるばかりでした。
孤独な戦い——誰も助けてくれない仕様書作成
そんな中、同じ担当の先輩が別の仕事を振ってくれました。
仕様書作成は継続しなければならないものの、何もしないよりはマシだと思い、新しい仕事を引き受けることにしました。
しかし、その仕事は以前経験のある給与計算システムの仕様書の作成でした。
給与計算業務の流れは理解していたため、業務内容自体は分かっていました。
しかし、「それを仕様書の形に落とし込む」ことが非常に難しく、見本もないまま手探りで進めるしかありませんでした。
何とか数日かけて作成したものの、先輩からは 「全く使い物にならない」 と厳しくダメ出しされました。
「なら、最初に書き方の指導をしてくれればいいのに…」
そう思いましたが、誰も仕様書の書き方を教えてくれる人はいませんでした。
それでも、ダメ出しを受けた部分を修正しながら、少しずつ完成に近づけていくしかありませんでした。
無意味な仕事と評価されない努力
その後、共済のシステムに関する仕様定義書を作る話が舞い込んできました。
共済の業務についてはある程度理解していたため、給与計算の仕様書よりはスムーズに進めることができました。
共済担当の職員と打ち合わせを行い、不明点や問題点を確認しながら書類をまとめ、できる限り正確なものに仕上げました。
しかし、いざ提出すると、上司から言われたのは 「こんなもの、○○さん(ベテラン職員)に頼めばすぐに終わるのに」 という言葉でした。
だったら、最初からその人に頼めばいいのではないか?
必死に作業した努力は、一瞬で踏みにじられました。
仕方なく、再び給与計算の仕様書の作業に戻りました。
しかし、実は他の人がすでに大部分を作成しており、私が手を出す必要はほとんどありませんでした。
「結局、何をやっても無駄なのか…?」
そんな無力感に押しつぶされそうになりながら、私は次第に心のエネルギーを失っていきました。
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