「休めないプレッシャー」——体調悪化のサインを見逃して
職場の雰囲気が変わって以来、体調が悪くても気軽に休める状況ではなくなっていました。
精神的なプレッシャーがひどく、毎日胃が痛むようになり、市販のガスターを常用するほどでした。
家に帰ると、私の顔色が悪いのを見た妻が「大丈夫なの?」と毎日のように尋ねてきました。
「大丈夫とは言えないけど、もう休職できないからね。頑張らないと」と答えるしかありませんでした。
本当はもう限界だったのかもしれません。しかし、職場の状況を考えると、簡単に「休む」という選択肢を取ることができず、自分を無理やり奮い立たせる日々でした。
「見過ごしてしまった危険な痛み」——それでも病院へ行けなかった理由
毎日の胃の痛みに加え、時々お腹がキリキリと刺すように痛むことがありました。
最初は「胃痛のせいかな?」と思い込んでいました。しかし、次第に痛む頻度が増え、痛みの強さも増していきました。
「これは胃の痛みではないかもしれない……」
そう思い、胃薬がなくなりかけているのをきっかけに、一度内科で診てもらおうと考えました。
しかし、以前から通っていた掛かりつけのクリニックが諸事情で閉院してしまったため、新しい病院を探す必要がありました。
平日は休めないため、土曜日に診てもらえる近隣のクリニックを探しましたが、評判の良いところがなかなか見つかりません。
そこで、精神科のクリニックの近くにある内科に行くことに決めました。
しかし、この判断を下すまでに時間がかかりすぎました。その結果、私は「限界が来るまで我慢してしまう」ことになってしまいました。
「夜中の激痛」——緊急搬送と記憶のない診察
内科に行こうと決めた矢先、最悪の事態が起こりました。
その日の夜中、突然、お腹に激痛が走りました。
「またか?」
そう思い、いつものようにガスターを飲みました。しかし、今までと違い、痛みはまったく収まりません。
ベッドで横になることもできず、七転八倒していました。
しばらくすると、妻が異変に気づきました。
「どうしたの? 具合悪いの?」
私は返事をするのもつらく、「ものすごくお腹が痛い……ガスターを飲んだけど、全然収まらない」と伝えました。
流石に尋常ではないと感じた妻は、すぐに夜間救急の受け入れ病院を探してくれました。
そして、子供を連れて3人で病院へ向かいました。
車で移動している間も、痛みは治まるどころか、どんどんひどくなり、息も絶え絶えの状態でした。
病院に到着すると、妻が手続きをしてくれましたが、私は意識が朦朧としており、診察室に運ばれてからの記憶がほとんどありませんでした。
後から妻に聞くと、点滴を打ってもらい、その中には「ブスコパン」という鎮痛薬が入っていたそうです。
そして、病院には2時間ほど滞在していたとのことでした。
自宅に戻るころには、痛みもある程度収まり、ようやく眠ることができました。
「胆石の発覚」——それでも病院へ行けなかった現実
翌朝、妻とともに、予定していた内科のクリニックへ向かいました。
妻が昨夜の状況を詳しく説明してくれたところ、医師は「まずはエコーで診てみましょう」と言いました。
すると、エコーを見た医師の表情が変わりました。
「結構大きな胆石があるね。多分これが原因だと思うよ。うちでは対処できないから、紹介状を書いて病院にFAXで送っておくね。地域連携だから、すぐに診てもらえると思うよ。」
「胆石……?」
胆石という言葉は聞いたことがあったものの、それがこんなに激しい痛みを引き起こすとは想像もしていませんでした。
しかし、この時点では「手術が必要になるかもしれない」という考えは、それほど深刻には受け止めていませんでした。
「とりあえず、病院でしっかり診てもらえばいいんだな」
そう思ったものの、問題は「すぐに病院へ行けるか」でした。
平日は仕事を休めないため、病院に行く時間が取れませんでした。
「病院は土日休診だから……すぐには行けないな……」
そうこうしているうちに、2〜3週間が過ぎてしまいました。
「繰り返される激痛」——それでも後回しにせざるを得なかった
金曜日の夜、再びあの強烈な発作がやってきました。
「これは……もうダメだ……」
私はすぐに妻を起こし、また夜間救急の病院へ向かいました。
その日は、偶然にも前回と同じ病院が当番だったため、前回と同じ症状であることを伝え、また「ブスコパン」の点滴を打ってもらいました。
帰宅後、妻と話し合い、ようやく紹介された病院の予約を取ることにしました。
しかし、仕事の都合があり、1週間後の月曜日にしか予約が取れませんでした。
この頃になると、胆石の痛みは一時的な発作ではなく、常に違和感として続くようになっていました。
そして、予約を待たずして、再び夜中に激痛が襲いました。
痛みで眠ることもできず、妻が急いで病院に連絡しました。
しかし、その日は紹介状を送ってもらった病院が夜間当番ではなく、「今夜は受け入れができない」と言われてしまいました。
「でも、紹介状がすでに届いていて、来週の月曜日に診察の予約を入れています」と伝えると、ようやく受け入れてもらえることになりました。
「もう限界だ……」
そのときの私は、すでに冷静な判断ができないほど疲弊していました。
このとき、ようやく「仕事よりも健康が大事だ」と思えるようになりました。
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