復職リハビリの始まり——戸惑いと適応
リハビリ期間の最初の2週間は午前中勤務のみでした。調子の良い日は午後も少し残って職場の雰囲気に慣れようとしましたが、すぐに上司から注意を受けました。
「リハビリ計画では午前中勤務となっているので、計画通り帰るようにしてください。」
少しくらいなら大丈夫だろうと思いましたが、職場のルールに従うことにしました。
午前勤務中は、実際の業務は割り振られず、職場の雰囲気や人間関係に慣れることが目的でした。その後、リハビリの次のステップとして午後3時までの勤務を2週間行うことになりました。
この頃から徐々に仕事が割り振られるようになりましたが、思いもよらない内容でした。
「Delphiのアプリのメンテナンス」——聞いたことも触ったこともない環境でした。
もともと私はCOBOLの給与システムを担当していましたが、休職中にシステムが新しくなり、COBOLは完全に廃止されていました。復職後は給与システムには関われず、全く別の業務を担当することになったのです。
何のためのアプリなのか、どのようにメンテナンスすればいいのか、説明もないまま渡されたため、何をどうすればいいのか全く分かりませんでした。
仕方なく、Delphiの入門書を買いあさり、ゼロから勉強を始めましたが、うつの回復途中で、まだ集中力が戻り切っていない私にとってはかなりの負担でした。
「せめて何のためのアプリなのかだけでも教えてもらえれば……」
そんな思いを抱えながら、手探りで作業を進める日々が始まりました。
フルタイム勤務への移行——期待と焦り
リハビリの最終ステップとして、いよいよフルタイム勤務を行うことになりました。
この段階でも、仕事の負荷はあまり上げないようにとの配慮がありました。
しかし、私はすでにDelphiのアプリのメンテナンス作業で手一杯でした。
「負荷を抑える」という意図はあったのでしょうが、環境も言語も業務の目的も不明瞭な仕事を振られたことが、むしろ負担になっていました。
「そもそも、このアプリは何に使うものなのか?」
誰に聞いても明確な答えはなく、周囲にDelphiを知っている人はいませんでした。
「うつの原因のひとつだった周囲からの孤立感を、この職場で再び感じることになるとは……」
それでも、ここで「無理です」と言ったら、「あいつは何しに職場に来ているんだ?」と思われるのではないかと不安でした。
休職が長引いた私には、周囲からの視線が気になって仕方がありませんでした。
自分から助けを求めることもできず、プレッシャーが募っていきました。
その結果、
✅ 仕事のストレスで気持ちが落ち着かなくなる
✅ 夜、眠れなくなる
✅ 食事の量が減っていく
「復職したはずなのに、また調子が悪くなってきている……」
そんな不安が頭をよぎるようになりました。
リハビリ期間の延長と小さな救い
フルタイム勤務になったものの、どうにも調子が悪かったため、健康管理室に相談しました。
すると、リハビリ期間をもう少し延長することになりました。
「無理せず、できる範囲でやればいいですよ。」
課長や課長補佐、直属の上司は、私の状態を理解し、温かく見守ってくれていました。
休職を始めたときの課長も、復職したこの時の課長も、とても優しい人でした。
上司を見る限り職場環境としては恵まれていたのかもしれません。
しかし、仕事の面では相変わらず、「Delphiのアプリをメンテナンスしてください」と言われるだけで、具体的に何をすればいいのか指示がありませんでした。
「せめて明確なタスクを与えてくれたら……」
この手探り状態は、リハビリ中の身にはかなりの負担でした。
そんな中、直属の上司が、月に一度のルーチンワークを割り振ってくれました。
「これなら、2日もあれば終わるし、無理なく進められる」
ルーチンワークとはいえ、明確なタスクがあることが、逆に安心感を与えてくれました。
この頃には心の調子がかなり不安定になっていましたが、上司のちょっとした配慮が、私にとっては大きな救いでした。
コメント