手術後の激痛に耐えた一夜——想定外の開腹手術と終わらない苦しみ

病室のベッドに横たわる30代の日本人男性。手術後の疲労が見え、点滴が腕につながれている。体を動かすのもつらそうな表情を浮かべている。 うつ病闘病記
手術後、激しい痛みに耐える男性。息をするのもつらく、夜の長さが苦しみをさらに増していく。

突然の開腹手術の決定——胆のう摘出手術の日

病院に到着し、これまでと同じくブスコパンの点滴を受けました。
翌日、紹介状を読んだ担当医の診察を受けることになりました。担当医はまだ若い女医さんでした。

診察ではエコーとCTの検査を行い、やはり胆石が原因の胆のう炎であることが確定しました。
医師から「胆石が大きいため、胆のうごと摘出する必要があります。手術が必要です」と告げられました。

その頃には腹腔鏡手術が一般的になっており、「開腹せずに4か所小さな穴を開けて手術を行う」との説明を受けました。
胸のあたりに2か所、脇腹に1か所、へその上に1か所、小さな穴を開け、そこからカメラや器具を挿入する手術とのことでした。
また、腹腔鏡手術の経験豊富なベテラン医師も手術に立ち会うとのことで、少し安心しました。

「手術後は傷口が小さいので、回復も早く、1週間ほどで退院できますよ」と医師は説明しました。
それを聞いて「思ったよりも大事にはならないのかもしれない」と少し安堵しました。


手術までの10日間——緊張と安堵の日々

手術に向けての準備期間が必要ということで、最初の診察から10日後に手術することが決まりました。

その間、食事は一切禁止され、点滴のみの生活を送ることになりました。(確か水を飲むのも禁止されていたと思います。)
しかし、あの激痛の発作を考えれば、食事を取ろうという気にもなりませんでした。

日常生活においてはシャワーや洗面などは問題なくできたため、意外と苦にはなりませんでした。
ただし、長年の仕事のプレッシャーから解放されるとともに、「これから全身麻酔の手術を受ける」という緊張感は常にあり、なんとなく落ち着かない10日間でした。

この間、血液検査や造影剤を使ったCT検査など、術前検査がいくつかありました。
とはいえ、基本的には何もすることのない、暇な入院生活。

職場の環境が悪化し、精神的に追い詰められていた私にとっては、結果的に「休養」とも言える期間だったのかもしれません。


手術当日——家族に見守られながら手術室へ

いよいよ手術の日がやってきました。
朝、妻と子供、私の両親と妻の両親が病室に集まり、私を見守ってくれました。

子供はまだ「手術」というものがどのようなものなのか、完全には理解していない様子でした。
それでも、「お父さん行ってくるね」と言うと、小さな手を握って「頑張ってね」と言ってくれました。

妻も「頑張ってね」と優しく声をかけてくれましたが、私は「頑張るのはお医者さんだから」と軽口を叩いて手術室へ向かいました。

ここからは、全く記憶がありません。
通常、手術室に入り、麻酔が効くまでの記憶はあるはずなのですが、緊張のためか、何も覚えていませんでした。

全身麻酔の手術など、普通の人はそう経験するものではないので、やむを得ないのかもしれません。


予想外の開腹手術——医師の判断で変更された手術内容

手術が始まってしばらくすると、手術室から看護師が家族の元にやってきました。

「胆のうの癒着がひどく、腹腔鏡では摘出できません。開腹手術に変更します。」

そう家族に告げたそうです。
当然、私は手術中のため、そのことを知る由もありません。

予定では昼過ぎには手術が終わるはずでしたが、大幅に時間が延び、最終的に終了したのは午後2時過ぎでした。
手術後、麻酔が覚めた私は、家族と対面し、そこで初めて「腹腔鏡ではなく開腹手術になった」ことを知らされました。

まだ麻酔が完全に切れていない状態だったため、「ふぅん、そうなんだ」と軽い気持ちで話を聞いていました。
しかし、やがてその事実がどれだけ大きなものかを痛感することになります。


耐えがたい術後の痛み——「息ができない」ほどの苦しみ

目が覚めた時には、外はすっかり暗くなっていました。
妻だけが病室に残っており、ほかの家族はすでに帰宅していました。

妻は「○○ちゃん(子供の名前)、手術の間おとなしく待っていて、周りの人みんなに褒められていたよ」と教えてくれました。
「手術時間が長くなったのに、ちゃんと待っていたよ」と聞き、「まだ小さいのに、そんなに頑張れる子に育ってくれていたんだ」と少し誇らしい気持ちになりました。

しかし、その穏やかな時間は長くは続きませんでした。

「なんかお腹が痛いんだけど…お腹切ったんだよね?」と尋ねると、妻は「胸の下からおへその上まで、大きく切ったみたい」と答えました。
時間が経つにつれ、痛みはどんどん強くなっていきました。

夜になると、耐えがたいほどの痛みに襲われ、ついに妻にナースコールを押してもらいました。

すると、看護師がこう言いました。

「普通は手術中に背中から痛み止めを入れるのですが、急な開腹手術だったので入っていないんです。座薬で痛み止めを入れるので、それで頑張ってください。」

術後の発熱もあり、座薬を入れてもらいましたが、しばらくするとまた痛みがぶり返しました。

座薬の間隔は4時間。
「あと何時間我慢すればいいのか…」
そう考えると、気が遠くなる思いでした。

やがて痛みが極限に達し、私は息ができなくなってしまいました。

妻が異変に気付き、すぐにナースコールを押してくれました。

「さっきから痛みを我慢していたら、息ができなくなってしまって…」

そう伝えると、看護師は「大丈夫、落ち着いてゆっくり息をして。大丈夫だからね」と励ましてくれました。
それでも痛みは続き、ほとんど眠れないまま朝を迎えることになりました。

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