動かない心と体——筋トレが変えた、私の休養生活

30代の日本人男性がリビングでストレッチをしながら、体をほぐしている様子。 うつ病闘病記
「今日は少し体を動かしてみよう」——無理のない範囲で、心と体を整えていく。

変わりつつある心

仕事を休み、数か月が経過しました。
投薬治療の効果が出てきたのか、心が少しずつ落ち着きを取り戻し、焦燥感が薄れてきました。

「やらなければならない」という義務感に追われることが減り、妻と他愛ない会話を交わせるようになりました。
最初はぎこちなかったものの、普通に話せることが「自分はまだ大丈夫なんだ」という自信に繋がりました。

食事の量も増え、体重も徐々に回復してきました。
相変わらず不眠は続いていましたが、「夜眠れなくても、昼に休めばいい」と割り切ることで、
「眠れないこと」そのものに対する恐怖も薄れていきました。


新たな恐怖感

仕事を休み始めた頃は、職場の先輩のことや復職への不安が心を占めていました。
「また同じ環境に戻れるのか?」「元通りやっていけるのか?」という恐怖は、ずっと消えませんでした。

しかし、しばらくすると、今度は別の不安が生まれました。
「休んで家にいる自分は、周囲からどう見られているのだろうか?」

最初の頃はそんなことを考える余裕もありませんでしたが、
少し気持ちが落ち着いてくると、「家にいること」が逆に気になり始めました。

「あの家の人は、いつも家にいる」「仕事をしていないのだろうか?」

そんな目で見られているのではないか——そんな気がして、外に出ることに抵抗を感じるようになりました。

「自分はまだ本調子ではない」
「心も体も、まだ完全に休めているわけではない」

そう分かっていながらも、周囲の視線が気になり、罪悪感ばかりが募っていきました。

そんな中、私のことを本当に理解してくれたのは妻だけでした。
両親も、休んでいることには一定の理解を示してくれましたが、病気そのものを深く理解しているわけではありませんでした。

そのため、家の中では安心できるものの、クリニック以外で外出することはほとんどありませんでした。


体を動かせば気分が変わる?

ある日、ふと 「今日は調子がいいな」 と思う日がありました。
「このまま家にいるのも気が滅入るし、何かやってみようか」

そう考え、試しに 短時間の筋トレ をやってみることにしました。
すると、思ったよりも気持ちがスッキリし、「いつものだるさ」とは違う心地よい疲労感 を感じました。

「気分が軽い日だけでも、体を動かしてみよう」

そう決めて、週に1〜2回、自宅で10〜15分ほどの簡単な運動をするようになりました。

すると、少しずつ「体を動かすこと」への自信がついてきました。
「もう少し運動の強度を上げてもいけるかもしれない?」

そう考え、次は 30分のウォーキング に挑戦してみました。

しかし、その結果は最悪でした。

・外を歩くことで、周囲の目が気になり、精神的に疲れてしまう
・筋トレと違い、途中で休憩なしで30分歩くのは思った以上に体力を消耗する
・運動後、うつの症状が悪化し、何もできなくなった

「短時間の適度な運動は気持ちも体も軽くなる。だけど、無理をすると逆効果になる。」
この経験から、そう実感しました。


筋トレの強度を上げて…

長時間の運動は無理だということが分かりました。
しかし、短時間の筋トレは体にも心にも良い影響を与えてくれる。

そこで、今まで行っていた自重トレーニングを 「もう少し負荷のあるものに変えてみよう」 と考えるようになりました。

そんなとき、妻が言いました。
「ダンベルとかのウェイトを使ってみる?」

妻も学生時代は筋トレにハマっており、二人でジムに通うのが日課でした。
そのため、どんな器具が必要かはすぐに分かり、早速 ベンチ、ダンベル、バーベル、バーベルラック を用意してくれました。

「筋トレは無理のない範囲でやるべき」
そのことは、ウォーキングの失敗で学んでいました。

だからこそ、週に2〜3回、「少し重くて疲れるな」 と感じる程度の負荷を意識しながら、トレーニングを続けることにしました。

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